タジキスタン ウズベキスタン 夜行列車
タジキスタン ウズベキスタンの国際列車が 2022年6月20日に再開した。
Поезд «Ташкент — Душанбе» планируют запустить с 20 июня. Подробности – Газета.uz
筆者はたまたま2022年6月上旬にタジキスタンに入国し1箇月滞在したので、乗ってみた。
ドウシャンベを出発し、国境まで牽引するTE33A。
鳥が大喜びだ!
時刻表
時刻表
Расписание поездов «Таджикской железной дороги»
週1往復。
- 月曜 ドウシャンベ18:37発 火曜日タシケント13:43着
- 火曜日 タシケント16:15発 水曜ドウシャンベ11:23着
タジク国鉄の運行で車掌も客車も全員タジク国鉄だが、全路線のうち殆どをウズベキスタン国鉄(青線)を走る。
運賃
ドウシャンベ-タシケント
- プラツカルト(解放寝台): 363ソモニ 約5000円
- クペー(4人個室): 453ソモニ約6340円
値段が23%差とわずかなのでクペーの方がお得だと思う。(普通ウズベクやカザフでは、1.5倍から2倍差がある)
切符の購入
切符はドウシャンベ駅の窓口で購入するか、ウズベキスタン国鉄のアプリでも購入は可能。ウズベク国鉄の場合、ウズベキスタンスムで表示されるがカード会社の決済は英国ポンド(GBP)となる。
僕は窓口で購入した。2時間前に来るように言われる。「レジストレーションだ」と言われたが実際は出国審査だった。
ドウシャンベ駅
7月4日月曜日、ドウシャンベ駅に来た。
指示された通り2時間前に来た。丁度そのころ国際列車の乗客は、通路の先に行くようアナウンスが流れる。
税関申告用の紙が置いてあり人々は何かを書き込んでいた。係員に聞いたらこれはタジク人用の申請用紙で、外国人の僕は必要ないという。
ドウシャンベ鉄道駅には普段は殆ど使われておらず閉ざされている出国審査用のブースがあるのだ!ガラスの正面ドアの右にある。
まず空港と同じ荷物検査をする。
ブライブ事件
出国審査ブースは3つあり、僕は一番左を利用したところ罰則金を要求された。つまり賄賂。
なぜヴォク(僕)がこんな目に!
タジキスタンの複雑な要件、制限等
賄賂というのは何の根拠もなく要求するものではない。いくらアホでもそこまで横暴ではない。制度の穴をついた技なのだ!
タジキスタンではいくつかの入国方法があり、複雑な状況になってしまっている。ビザフリーと電子ビザが両方あるのは意味不明だ。滞在登録、入国カードなど必要書類が混じって大変なことになっている。
- ビザフリー★現在推奨→滞在登録必要
- 電子ビザ→滞在登録不要
と、簡単に見えるだろう。だがビザフリー、電子ビザどちらであろうとも、オイベック陸路国境ではイミグレツォーン(入国カード)が配られない!(フォロワー氏のトロリーろば氏談)
僕はオイベックから来たのでイミグレツォーンを持っていないという不備で賄賂を要求されたわけだ。
空港入国ではイミグレツォーンが配られるらしい。
- ビザフリーでOYBEK国境入国(イミグレツォーン無し)で滞在登録をする→賄賂
- ビザフリーでOYBEK国境入国(イミグレツォーン無し)で滞在登録をしない→賄賂
- ビザフリーで空港など国境入国(イミグレツォーン有り)で滞在登録をする→完全に法律を守っている
- ビザフリーで空港など国境入国(イミグレツォーン有り)で滞在登録をしない→賄賂
- 電子ビザでOYBEK国境入国(イミグレツォーン無し)→賄賂
- 電子ビザで空港など国境入国(イミグレツォーン有り)→完全に法律を守っている
6種類もパターンが出来てしまった!!!
なお、オイベックから入って陸路で出れば大丈夫な説はある(筆者未実施)。これを含めると更に種類が増えてしまいパニックなので解説しない。
簡略化
とはいえ、究極的にはたとえ完全に法律を守っていても何でイチャモンを付け賄賂を要求されるか分からない。僕が思いつかない独創的なイチャモンが来るかもしれないぜ!
上リストの3か6の場合でも賄賂を要求される可能性はあるのだ!
結果として、複雑になった事象は、すべて簡単になる。
- 何も言われない→OK
- 賄賂を要求される→払う
- 賄賂を要求されるが、払いたくない人→ゴネる
基本的に「金がない」と言いゴネれば大丈夫だ。デンギニェットとかね。
※雰囲気的には、金くれるなら欲しいけど無理してむしり取ろうという感じではなかった。通貨が余ってたらあげてもいいかもね。
列車乗車 – ドウシャンベ1駅
賄賂要求という楽しい出国審査を終え、プラツカルトに乗車。
出発前に撮影したいところだが、数日前僕はカメラ片手に暴れつくし、2度にわたって駅員に怒られている。顔は覚えられている。やたら写真撮りたがるイポンスキーである。
国際列車に合わせて普段駅には居ない迷彩服の軍隊(国境警備兵)が居たため、無茶な撮影はやめた。もうシチサン写真は撮影しているし、TE33を無理して撮る必要はない。
客車の側面だけ撮影して客車に乗る。
※タシケント→ドウシャンベではTE10牽引の可能性はある。
客は少ないが車掌室側に詰められてる
ソ連切符発行ではよくある話だが、車掌室側に客の全員が詰められ、奥はスカスカという状態。こんな低乗車率なのに僕の前のプラツにはロシア人というおばさんが座った。
もうちょっとバラけて発券しろよ…
隣のワゴンはもっと酷く、客が0人だった。更に隣は数人乗っていた。この列車は10連だがそんなに要らないと思う。国家の威信であって収益性は関係ない。
※クペー2 食堂車1 残り7両は多分全部プラツ
時刻表を作るのが仕事という男
僕が乗車したとき、ホームで数人の人がたむろしていた。全員国鉄職員だと思うが、そのうちの一人が英語で話しかけてきた。
時刻表を作るのが仕事とのことで、「今後はロシアへの列車が再開するだろう」。彼いわく6月末と言っていたが実現してなさそう。
「その際は航空需要が鉄道に流れて、結果的に航空運賃も安くなるだろう」との需給の話もしてくれた。その前にこの高すぎる運賃を何とかしてくれ!
ところでワゴン内は冷房が付いておらず、熱せられた缶状態だったが、時刻表Guyの彼曰く発車したら冷房が付くという。
冷房が付かない
嘘だった。絶望した。
発車しても空調が動く気配が無い。
ウズベク国境通過後、ウズベクの機関車がついてからはいつの間にか冷房が付いた。
タジキスタン、最後の最後までクオリティの低さを示してくれる。
さよならタジキスタン。
タジク、下痢になるし、冷房は付かないし、少ない金額をぼったくるけど、タジク人は何か憎めない人達であった。
ウズベキスタン税関はまぁまぁ陰湿
ウズベク入国審査用のクドゥクリ駅に到着。120分の停車だ。
こういった国際列車ではよくある事だが車両を所有しない側の国の検査が徹底しており、悪く言えばほぼ嫌がらせだ。
天井のネジを外してまで屋根裏に隠していないかチェックする。
屋根裏や壁の裏の隙間までチェックするのが無駄かと言われると実はそうでもなく、筆者の目撃経験ではウOXOナからポXOXドへの国際列車で本当にそれでMI-TSU-YOU や、この話は止めよう。
さらに2回目に荷物をチェックする人が来たが、これには僕の前に座っていたロシア人おばさんも呆れていた。面倒にも程がある。ただし2回目の人は犬を連れており、こちらはたぶん麻薬探知犬。
繰り返すがその車両を持っていない、乗り入れされる側の国の国境審査がやたら厳しいというのはよくある事で陰湿というのは言い方が悪いかもしれないが、まぁ陰湿である。
入国スタンプは、どこかの事務所にパスポートを持っていかれて、一切質問なくパスポートが返却された。
疲れたので寝た。
翌朝 カルシ駅
朝6時に起きたらカルシ駅で停車中だった。時間は20分。
隣のホームに泊まっている車両があった。列車番号003Фで国際列車の36分後に発車する。後述するがサマルカンド駅で僕が乗っている列車を追い越すのだ!
ひどすぎるが、この時は知る由もない。
サマルカンドへ向けて列車は走る。
朝食
食堂車の人らしきおっさんが、プロヴを食べないか聞いてきた。彼がプラツカルトまで運んでくれる。
値段は20ソモニ、240円。列車で食べる食事にしては破格だ。
サマルカンド
50分の長時間停車がある。
ウズベキスタンは駅撮りは許可されているため、タジキスタンのように怯える必要はない。
ウズベキスタン国鉄の牽引機
2O’ZUY 0501B が牽引していた。中国製で多分新しいのと緑客車は時代のミスマッチ感がある。
2両1ユニットでパワーがありそう。貨物用に見えるが、専用ではないのかな?
無慈悲な追い抜き
しばらくすると早朝カルシ駅で止まっていた中華釜の客レが入線してきた。(上の写真)
そして数分の停車後、タシケントへ向けてさっそうと走り去った!!!!!!! ええ….
時刻表トリック
3013 PASS Karshi 6:34 – Tashkent 13:43(僕が乗車)
所要時間7:09 運賃 227880スム
003Ф СК (Nasaf) Karshi 7:10 – Tashkent 12:44
所要時間5:34 運賃 89000スム
なぜ通常の2.56倍の料金がする高額な国際列車がボンクラの座席急行みたいなのに抜かれるんだよぉ!!!!!!ダイヤ考えた奴何とかしろ!!!
36分も早発して59分遅く到着ってオコだよ。西村京太郎時刻表トリックできるぞこれ。
カルシで国際列車から乗り換えタシケント駅に1時間早く着き、誰かを殺害するなどの例が考えられるのでウズベキスタンで時刻表トリックを用いた殺人をしたい人はぜひ利用して頂きたい。
サマルカンドからタシケントへ
タジキスタン国内とは違い、ウズベキスタンは普通のプラツカルトでも120km/hが出る場所もある。
新幹線よりは遅いが、あっという間にタシケントが近づいてくる。
食堂車
せっかくなので食堂車をタシケントへ着く前に利用してみた。
内装は奇麗だがメニューの数は少ない。というか1種類、プロヴだけだ。
一応メニューの紙はプラでラミネートされた物があったが、値段が最近の物価と違うし、給仕の女性がうちわとして使っていたwww
そもそもプロヴしか無いからメニューもクソもあるか!
※昨晩はスープっぽいものはあったらしい?
このプロヴの価格も無茶苦茶で、朝食の時運んでくれたおじさんは20ソモニだったが、食堂車の給仕はプロブ+水で30ソモニ要求してきた(呆れ)水500mlが10ソモニもするわけないだろ…
ぶっちゃけどうでもいいので払った。
そもそも360円で食堂車で食事が出来るのは安いと思う。
炭酸が抜けた水
この食堂車で売られている水は炭酸水だった。しかし2019年のパンデミック前から放置されてるんじゃね?と言いたくなるような炭酸が抜けたペットボトルの水だった。
タジキスタン色々やべぇwwww
タシケント到着
19時間と無駄な5000円を使ってタシケントへ到着。
長い旅行だったが、面白かった気がする。
なんでこんな列車に5000円も払ったんだと言いたくなるのもあるが
タジキスタン国際列車まとめ
メリット
- 賄賂バトルは比較的Easy
- ウズベク国内は冷房がつく
- 食堂車がすごい安い
- 客が1両に5人か6人と少ないので快適
- 旧ソ連列車の旅の雰囲気
- 西村京太郎になれる
デメリット
- タジク国内で冷房がつかなかった なんで?
- 食堂車のペットボトルの炭酸が抜けてる
- 値段高すぎ5000円
- 時間かかりすぎ19時間
- サマルカンドでウズベク国鉄の長距離列車に抜かされて惨め
- 週1往復しかない
総評は
旅行者として一度乗るのは全く良いと思う。